高校で留学した学生におすすめのカリキュラム

- 高校生での留学を考えている
- インター校や現地校に通っており、カリキュラム選択に迷っている
こんな方に向けた記事です。
日本の一般的な高校のシステムと、海外の高校での単位取得のシステムは大きく異なります。特に、高校卒業資格の代わりになるようなカリキュラムは仕組みの違いも大きく、よく分からないという方を多く見ます。
しかし、自身のカリキュラムを理解する事は、大学入試・進学に直結すると言っても過言ではないので、正しく理解する事が非常に大切です。
今回は、国やエリア別のカリキュラムを紹介していきます。今回紹介するカリキュラムは有名なものも多い為、海外のカリキュラムを考える際には最初に候補となるものだと思います。
この記事を見れば、海外のメジャーな高校カリキュラムが簡単に理解できるので、留学先の高校生活、もとい大学進学を見据えた進路の選択に役立てていただけます。
- 海外の高校のカリキュラムの仕組みとは??
- 高校留学での卒業資格一覧
- Abitur
- Advanced Placement (AP)
- American College Testing (ACT)
- Baccalauréat(Bac)
- GCE Advanced Level(A Level)
- International Baccalaureate(IB)
- SAT
海外の高校のカリキュラムの仕組みとは??

最初に、海外の高校のカリキュラムの仕組みを簡単にご説明します。
海外の高校では一般的に、一つの大本の教育機関のカリキュラムを、各自がそれぞれの学校で受講します。つまり違う国、土地、学校で同じカリキュラムを受講します。
例えば、IBというカリキュラムはInternational Baccalaureate Organisation (IBO)が大元となって、開発したカリキュラムを各学校で教えます。例えると、イギリスにあるA学校と日本のB学校が同じカリキュラムを受け、卒業資格で同じものも手にします。ちなみに、最終テストは全加盟校(全生徒)を対象に同じ統一テストが行われます。
成績の発行もIBOからとなります。各学校ごとの成績を決める際の采配権を小さくする事で、より公平な評価(学校のレベルなどに左右されない)を実現しています。
共通の評価基準(テストなど)を持つ事で、大学側の学力評価はシンプルになります。この為、海外のいくつかの国では書類提出のみで大学進学が可能な場合もあります。
また他のカリキュラムのパターンとしては、共通テストのための準備コースに通う場合があります。これは日本で言うと、共通テスト(センター試験)のために各校が独自に対策をしているイメージです。
2つめのパターンはアメリカに多く見られ、多くの高校生がSATというテスト(大学進学に必須)の対策を学校で行います。この場合、高校のSATコースで準備を行い、外部機関のCollege Boardの提供するSATを受験する流れです。

高校での勉強は、SATの対策に特化したものを中心に行います。大学受験では、事前に受験したSATスコアを提出します。
今回はIBとSATを例に紹介しましたが、高校の卒業資格にも様々な種類があり、「どの国の、どの高校に通っているか」によって取得可能な卒業資格も変わってきます。国際的に力を発揮する資格もあれば、一定の国で広く支持されているものもあります。

高校のカリキュラム選択の決断は、大学進学にも大きく影響します。カリキュラムが力を発揮する国などは、前もって調べましょう!
高校で留学して日本の大学に戻る場合は、帰国子女入試の制度を使用します。この入試制度はルールや仕組みがかなり複雑です。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
高校留学でのメジャーな卒業資格

留学先での高校の卒業資格は、IBやGCSEに代表される国際的なものから、一部の国でとても有効的な資格まで、様々なものがあります!
今回は、
- 取得可能な国
- 卒業資格の種類
- 受験する時期
- 日本での扱い
- 他国での扱い
に分けて、2019年時点での情報を公開します。
Abitur
主に実施されている国:
ドイツ・フィンランド・リトアニア・エストニア・オーストリア・スイスのドイツ語圏
*オーストリア・スイスでは、Matura / マトゥーラ と呼ぶ
Abiturは基本的にドイツやその近隣の国々で受験可能です。資格の扱いは、高校卒業資格と大学入試を兼ねたものとなり、高校最終学年(G12)で取得します。

ドイツでは、Abiturの合格が大学入試の合格となります。大学進学時には、大学の定員数を上回る場合のみ、点数などを基準に合否の判断が下ります。
次に日本国内と他国の大学受験でのAbiturの扱いについて見ていきます。
日本国内の大学を受験する際に、受験資格としての使用が可能です。基本的には、帰国子女入試と呼ばれる海外生用の入試試験を受ける事になります。

帰国子女入試については、上の記事をチェック!
Abiturの世界的な知名度はそれほど高くありません、ただしヨーロッパやオーストラリアの西欧諸国では一定の知名度があり、受験での使用も可能な大学もあります。
ドイツの大学では、留学生でも学費が無料になる大学もあるようです。Abiturの取得と合わせて、調べてみると良いでしょう。
Advanced Placement (AP)
設立団体:College Board / アメリカ
主に実施されている国:アメリカ・カナダ
アメリアやカナダで取得可能な資格で、大学入試のための共通テストという位置付けです。高校最終学年で受験します。AP自体は外部テストのようなもので、高校のカリキュラム本体ではありません。

高校でAPやSATのような共通テストを勉強する際は、準備コースのようなそのテストに特化した勉強を行います!
College BoardはSATの提供元でもあります。APもSATもアメリカの大学受験で使えますが、APはより難しい内容のテストなので、得意科目などで受験するイメージです。
一般的なアメリカの大学受験は、SATで行うことになります。
資格として認めている国は限られており、アメリカとカナダでの使用がメインとなります。

とても難易度が高いテストなので、取得すれば大学受験時に高く評価されるそうです。難関大学の進学にはとても有効な資格でしょう!
また、大学入学後の単位への交換もできるようですよ!
日本国内では、文部科学省が大学入試資格として認めていない事もあり、残念ながら知名度がそこまで高くないです。帰国子女入試などの大学受験の際にもSATと違い、APを認知している日本の大学は少ないそうです(過去の受講者の方に伺ったので、現在は状況が変わっているかもしれませんが。。)
APは一般的に、高校のAPコースで対策を行い、テストを受験するケースが多いです。
また、テストは1科目からでも受験が可能なので、得意科目だけAPへ挑戦する事も可能なようです。
American College Testing (ACT)
設立団体:ACT Inc. / アメリカ
主に実施されている国:アメリカ
SATと同じような、大学進学希望者に向けた共通のテストになります。テストは以下の4つのセクションから構成されています:
- English(英語)
- Reading(読解)
- Mathematics(数学)
- Science(科学)
一般的に、11年生の半ば〜12年生の前半に受験する生徒が多く、テストも複数回受験が可能です。SATと同じく、基本的にアメリカの大学進学で使用するテストになります。

アメリカの高校生は大学進学のために、SATまたはACTを受験するよ!
日本国内での扱いは、文部科学省は大学入試資格として認めてないようです。またSATと比べると、日本の大学からの認知度は弱いようです。
Baccalauréat(Bac)
設立団体:フランス教育省
主に実施されている国:フランス
Baccalauréatはフランスの高校卒業資格です。国によって管理されている資格で、Baccalauréatの認定を受けることが、大学の入学資格にもなります。

個人的に、ドイツのAbiturと似ている部分もあるな、と思いました。
日本では文部科学省により、大学入試資格として認められています。しかし、Baccalauréatはフランス国内で特に強い力を発揮する資格です。
その為、他国の大学進学時にはフランス国内ほどの力を発揮しません。諸外国では、ベルギーやカナダの大学、そしてスイスの一部の大学で大学の入学資格として評価されるようです。
詳しく知りたい方は、フランス留学センター様のサイトをご覧ください。
GCE Advanced Level(A Level)
設立団体:Cambridge大学 / イギリス
主に実施されている国:イギリス・シンガポール・マレーシア・ブルネイ・スリランカ・インド などなど
イギリスの高校卒業資格であり、大学入試資格試験を兼ねたものです。イギリスを始めとした、イギリスの影響力の強い国で多く実施されています。
イギリスの大学では入試テストがほとんど実施されないので、GCSEの点数が大学進学の判断材料になります。
受験時期は毎年1月と5月で、2年の間に最大で4回まで受験が可能です。基本的に、G11 ~12の過程で学校のGCSEコース(対策コース)に通い、準備することになります。
日本では、文部科学省により大学入試資格として認められています。海外では、イギリスやシンガポール・オーストラリア・カナダなどで力を発揮します。
アメリカの大学受験では力を発揮し辛いという情報も聞きました。
GCSEのアメリカでの扱いに関わらず、その国でメジャーなカリキュラムを選択することが、受験の時の不備を少なくする為にもオススメです!
International Baccalaureate(IB)
設立団体:International Baccalaureate Organisation (IBO) / スイス・ジュネーブ
主に実施されている国:スイス・スペイン・イギリス・シンガポール・日本 などなど
国際バカロレアは、国際的にもかなり知名度が高いです。日本でも最近耳にする機会が増えてきました。IBDPという資格が高校卒業資格と大学入試資格資格に当たります。
IBというプログラム自体は、小学校から高校までの教育プログラムのことを指します。
そのうち高校過程で取得するものが、IB Diplomaになります。
IB Diplomaは2年間のコースで、最終試験をG12年生の5月または11月に受験します。(基本的に、学校によってどちらか決まっているため、自分での選択は不可。)
日本の文部科学省により、大学入試資格として認められており、帰国子女入試でもよく見かける代表的な資格の一つです。
IB入試という大学受験の制度も存在します。詳しくは、帰国子女入試についての記事をご覧ください。
国外での知名度も高く、カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポールや、イギリス他ヨーロッパの国々の大学受験でも使用可能です。
その中で、アメリカとフランスでは一部の大学のみ受験資格として認めている、という現状になっています。

アメリカの大学受験は、SATまたはACTの受験がオススメですね!
IBに関しては、当ブログにて細かな内容まで掘り下げをしています。情報集めには、当ブログのIBの記事をお使いください。
SAT
設立団体:College Board / アメリカ
主に実施されている国:アメリカ *但し、アメリカ国外でも受験は可能です。
ACTと同じように、アメリカの大学受験の為の共通テストです。SATは共通テストの中でも、代表的なものです。
高校のSATコースに通い、準備が出来たらテストを受けるという流れになります。
主にアメリカの大学入試資格試験として扱われ、G11年生の半ば〜12年生の前半に受験する生徒が多いです。また、何度でも受験することが出来ます。

複数回SATを受験した中から、最も結果の良かったテストを大学に提出するよ!
日本の文部科学省は、大学入試資格として認めていません。但し、帰国子女入試では成績証明や提出書類の1つとして問題なく使えます。また大学によっては、SATのスコアをTOEFLの代わりとして使用することができる場合もあります。
SATに関する詳しい内容は、下の記事からご確認下さい。
今回は、海外の高校で取得可能なプログラムのうち、比較的知名度のあるものを纏めて紹介しました。
この中では、IB・GCSE ALevel・SATの三つが有名かつ、実施している高校も多いです。カリキュラムはそれぞれ特色も違いますし、発揮できる強みを違います。
大学進学のことも念頭に置きながら、最も自分に合っているものを選択することをオススメします!
またカリキュラムに関する内容などは、リサーチを行なった時点での情報となります。必ずご自身で最新の情報を確認しておく事を強くおススメします!
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